イタリアの新刊 2024年4月その二

4月26日夜。消灯。枕に頭を乗せて体を休ませると、プーンという懐かしい音がする。明かりをつけて、目を凝らすと、いる。たしか去年は12月になっても飛んでいたので、5ヶ月ぶりの再会。いない期間よりもいる期間の方が長くなってきた。もはや、季節の風物詩…

イタリアの新刊 2024年4月その一

おばを訪ねて吉祥寺へ。案内されて久しぶりの井の頭公園へゆくと、平日の昼間だというのにたいへん賑わっている。さまざまな国籍の人たちがいるもよう。池の周りを歩きながら、おばから、懸垂をできるようになりたいから特訓を始めた、という話をされる。こ…

動きだす

風呂場の壁と天井のさかい目に、蜘蛛がいる。 いるな、と思いながら、一週間、二週間経ち、すると蜘蛛の表面を白いもやもやしたものがおおいはじめ、これはカビだろうか、と思いながら一週間、二週間経ち、ついに決心して蜘蛛を取り払うことにする。 トイレ…

イタリアの新刊 2024年3月その二

選びに選んで、ひさしぶりにイタリアのオンライン書店に本をまとめて注文した。カード側の問題で注文の確定ができないというトラブルがあり、カード会社に電話してそのトラブルを解消し(危険を察知して買い物を停止したとのこと)、さらには在庫ありの表示…

イタリアの新刊 2024年3月その一

ハナニラ、ムスカリ、ハナダイコン、ボケ、ユスラウメ。この半月のあいだに咲きはじめた花たち。はじめはあの花もこの花も、と心を弾ませていたけれど、じょじょに焦るような、おいてけぼりにされているような気分に。 3月上旬に気になったイタリアの本たち…

Radio 3, L'isola deserta にエイナウディの編集者パオロ・レペッティさん出演

2月24日のRadio3のL'isola deserta(無人島)の放送回がまたとてもおもしろかった。2月4日の放送に続き、ふたたび出版社の人がゲストだった。今回登場したのは、イタリアでもっとも有名な出版社エイナウディの、編集者パオロ・レペッティさん。レペッティさ…

無添加の漬物

妹と電話。 妹は、先日夫とともに、夫の予備校時代からの友だちの別荘へ遊びにいったそう。その友だちは、夫いわく予備校時代はEXILEのようにスリムだったらしいが、今は大きく丸く、大きな広告代理店に勤めている。 どういう話の流れか知らないが、妹はその…

イタリアの新刊 2024年2月その二

ここで気になるイタリアの新刊をお知らせしているのは、日本語にまだ翻訳されていないイタリア語の本におもしろそうなのがあるのを見えるようにしたいからだが、もうひとつ目的があって、自分が気になる本をメモしておいて、あとでふりかえり、まとめて注文…

イタリアの新刊 2024年2月その一

2月9日に福寿草が咲いた。 毎年この季節になると、花が咲いた日を手帳に書きとめはじめるのだが、じょじょに数週間分まとめて、やがて数ヶ月分まとめてとなり、調子がいいときは10月まで、悪いときなどは7月までで記録が終了。今年はいつまで続くだろう。 2…

Radio 3, L'isola deserta に出版社アデルフィのチーフエディター ジョルジョ・ピノッティさん出演

L'isola deserta2月4日の放送回がおもしろかった。出版社アデルフィのチーフエディター、ジョルジョ・ピノッティさんが出演。 編集の仕事に就いたのは1984年。フランコアンジェリ、ガルザンティ、エイナウディと出版社を移り、エイナウディ在籍中にロベルト…

眠れないほど

シチリア語の辞書をひく必要があり、今日は朝から東京の西にある母校の図書館へ行く。 作業を終えて、お昼ごはんに近所のパン屋でサンドウィッチを食べ、また都心へ戻る電車に乗る。平日のお昼すぎの車内の空気はぬるくぼんやりとしている。私も車窓から外の…

イタリアの新刊 2024年1月その二

イタリアの出版社モンダドーリのウェブサイトに、ガルシア=マルケスの未刊作品が3月刊行予定との情報を見つけた。イタリア語のタイトルは"Ci vediamo in agosto(八月に会いましょう)"というもの。調べてみると原題は"En agosto nos vemos"で、やはり3月刊…

イタリアの新刊 2024年1月その一

年末、ちょくちょく「無理しないで」という言葉でおひつじ座に優しくしてくれたしいたけ占いが、年明けからしょうしょう厳しめになった気がする。「『受動』や『受け身』には少し注意してみて」と…。どうしたらいいんだろう…。 ともかく、1月上旬に気になっ…

年明けの跳躍

年が明けて勤務二日目。仕事を終えて家路につく。 たった二日職場で過ごしただけで、すでに右肩一帯が痛い。なぜ座ってパソコンを見ているだけでこんなにも疲れるのだろうか、家でも座ってパソコンを見てばかりいるのにいったい何が違うのだろうか、などと考…

『ふたりの世界の重なるところ』付記の付記

昨年末、『ふたりの世界の重なるところ』という本を月曜社から出していただきました。 この本がどういう本かひとことで説明するのが難しくて、相手によって「イタリアの出版社ボンピアーニの創業者の娘さんの回顧録についてのエッセイ」とか「イタリア文学関…

イタリアの新刊 12月その二

恒例の、妹とふたりでの二日がかりのおせち作りはなんとか終わった。最盛期の三分の二ほどの品数におさえたので一日目は早めに切り上げてのんびり。二日目の今日、煮物類に思った以上に時間をとり、お重につめたら、もう夜の七時近くだった。伊達巻きが生っ…

イタリアの新刊 12月その一

加藤典洋さんの『テクストから遠く離れて』を読みはじめ、この方文芸評論家という肩書きなのに、小説家の小説の読み方をする人だ! と興奮しながら第I章を読み終えて、第II章で村上春樹の『海辺のカフカ』を論じるところに至り、『海辺のカフカ』を読んだこ…

『ふたりの世界の重なるところ』今朝の「朝日新聞」一面に広告が掲載されました

11月に月曜社から刊行されました『ふたりの世界の重なるところ』、本日の朝日新聞の朝刊一面に広告を掲載していただきました。あの広告欄をサンヤツと呼ぶということを学びました。 朝ごはんを食べながら眺めるのを楽しみにしている(今わたしがとっているの…

十二月の蚊

なにかの比喩ではなく、蚊がいる。十二月の夜に、である。 寝床につくと、プーンという懐かしい音がして、ガバッと起きて目の焦点を調整する。すると姿を捉えることができた。全盛期に比べると、動きのもっさりとしたやつである。こちらもあのころに比べても…

イタリアの新刊 11月その二

長い夏のせいなのか、年のせいなのか、調子の悪い11月だった。病院に行っても原因わからず。でも後半、養命酒を飲みはじめて元気を取り戻す。座り方にも不調の原因がありそうと、仕事中の姿勢にも気をつけるようになった。家にいるあいだはできるだけ寝転が…

イタリアの新刊 11月その一

11月の前半に気になったイタリアの新刊本たち(11月より前に刊行されたものも含む)。 こうやって海外の出版情報を調べていると、あれも邦訳されればいいなぁ、これも日本語で読めるようになればいいのになぁと思うわけで、そういうふうに思う人がほかにもい…

イタリア語で読むロシア

今年6月、ロシア人ジャーナリストのエッセイにかんする次のツイートを目にした。 ロシアのジャーナリスト、エレーナ・コスチュシェンコの作品『わたしの愛する国』。ロシアでは出版できず、現在イタリア語のみの出版。露語の一部が公開され、とても良いので…

イタリアの新刊 10月その二

11月に入ってしまった……。しかし10月中に気になったイタリアの新刊本たちその二。 カルミネ・アバーテ著『幸せな村(Un paese felice)』Mondadori, 2023/10/3 マッテオ・コッルーラ著『Luigi Pirandello-Leonardo Sciascia(ルイジ・ピランデッローレオナルド…

イタリアの新刊 10月その一

10月に気になったイタリアの新刊その一(刊行が10月でないものも含む)。 イタリアの出版社の夏休みが完全に終わったようで、気になる本がたくさんだった。そのため、今頃になってやっと「その一」。 アントニオ・タリア著『スパイの季節(La stagione delle …

Radio 3, Ad alta voce 夏目漱石の『草枕』の朗読が始まった

10月23日(月)から、Radio 3のAd alta voceで、夏目漱石の『草枕』のイタリア語訳の朗読が始まった。イタリア語のタイトルはGuanciale d'erba。まんま。朗読は、Marco Foschiさん。使われているのはNeri pozzaから出ているものということなので、Lydia Orig…

Radio 3, L'isola deserta に社会学者のフランチェスカ・コインさん出演

Radio 3の番組、L'isola deserta(無人島)の9月30日の放送回に、社会学者のFrancesca Coinさんが登場した。意外にも、この番組に社会学者が登場するのは初めてとのこと。言われてみれば、イタリアの社会学者、Coinさん以外知らない。 Coinさんは今年の8月に…

キンモクセイ対決 今年の結果

甘く、とつぜん匂うのがキンモクセイである。 花の姿を見て、そろそろかな、と待ちかねる間はなく、とつぜん強いにおいがやってくる。それから花の存在に気づく。ジンチョウゲとは違う。こちらはピンク色のつぼみが膨らんでいく姿を見せて、香りへの期待を高…

カルヴィーノ生誕100年記念 ローマで国際会議

今年はイタロ・カルヴィーノ生誕百周年で、関連書が刊行されたり、イベントが開催されたりといろいろあったが、その締めくくりとして、10月19日から21日にかけてローマで国際会議 "Calvino guarda il mondo. Pluralità, coesione, metamorfosi(カルヴィーノ…

レシピの懐

このごろ、家にあるdancyuのバックナンバーを読むのにはまっている。 家には全号がそろっているわけではなく、毎号買っていた時期もあれば、まったくない年もあり、夏に組まれるカレーの特集についてはほぼ毎年買っていたりと、歯抜けながらそこそこのボリュ…

休日の八百屋で

今日は仕事が休みの日で、昼前にお気に入りの八百屋さんに行ってきた。お気に入りの八百屋さんは、家から自転車で十分ほどのところにあって、おしゃれでもなんでもない一見ふつうの八百屋さん。でもたとえば、茄子が大沢さんのと小野さんのと二種類あったり…