眠れないほど

 シチリア語の辞書をひく必要があり、今日は朝から東京の西にある母校の図書館へ行く。

 作業を終えて、お昼ごはんに近所のパン屋でサンドウィッチを食べ、また都心へ戻る電車に乗る。平日のお昼すぎの車内の空気はぬるくぼんやりとしている。私も車窓から外の景色をぼんやりと眺める。

 カタっと音がして見ると、足元に文庫本が落ちている。左隣の高齢の女性がうたたねして落としたようだ。この陽気、むべなるかな。本の表紙を見ると、『眠れないほどおもしろい紫式部日記』とある。